~我らの存在意義~

先日非常にせっぱ詰まったメールが届き名古屋までひとっ走りしてきました。

これはあくまでも緊急事態のケースで通常これほどの距離を動くことはありませんが今回はちょっと行って参りました。なぜ私が早急に動いたかと申しますと一言で言えば動かずにはいられなかったというのが正直なところです。

さてなぜ私が動かずにいられなかったかというともちろん遠く離れた私を頼ってくれたこともありますし、ワンちゃんの世話をすることが不可能に近い状態にまで陥っているという状況、そしてもう一つはその方が関わられたトレーナーたちのふがいなさ、無責任さに腹が立ったというのが本音です。ワラにもすがる思いで触れたことなのですが前回のケースは福岡や広島のお話です。今回は愛知でのお話です

その方も咬みつくワンちゃんに困って何件かの訓練所に相談したところ「4歳?咬みつく?無理!」とすべて門前払いを喰らったそうです。途方に暮れているわけにもいかずネットで検索して当訓練所のHPに辿り着き、相談だけでも・・と思いメールをくれたそうです。

その方もワンちゃんが咬み始めた頃に「これではいけない」と思いしつけ教室に通ったそうです。そして通うたびに飼い主が悪いだの飼い方が悪いだの言われたそうです。結局6ヶ月間通っても“おすわり”だとか“ふせ”だとかどんな犬でも覚えることをやらされただけで肝心要の“咬みつき癖”の改善はされることはなかったそうです。

だいたいからして“咬みつき癖”はしつけ教室では改善されません。改善されるとしても極々軽度のものです。それをまるでそれが改善されるかのように唱い6ヶ月間も通わせること自体、詐欺に近いと思います。私は咬みつき癖のあるワンちゃんはしつけ教室では絶対に受けません。何とかしてあげたいのはやまやまなのですが咬みつき癖の矯正をオーナーさん自身に行わせるのはあまりにもリスクが大きすぎるからです。我々プロの訓練士だってそうやすやすと矯正できる問題ではありません。ですから先に述べたように「4歳?咬みつく?無理!」と断る訓練所がほとんどなのです。

咬みつき癖の矯正は時間との勝負です。一朝一夕に変えることは不可能で時間をかけて矯正していかないときちんと矯正することはできないのです。ですから私は咬みつき癖の矯正は“預託訓練のみ”でしか行っていません。そのかわり咬みつき癖でお預かりしたワンちゃんの実に78.8%が更正してオーナー様のもとへ戻っています。「なんだ100%じゃないのか」と言われると返す言葉もないのですが「4歳?咬みつく?無理!」とあっさり断る訓練所が大半の今日この頃、自分では頑張ってる方ではないかと自負しております。

さて今回のタイトル「我らの存在意義」ですが改めて訓練士の存在について考えてみました。しつけインストラクター、問題行動インストラクラー、警察犬訓練士、ドッグトレーナーなど様々な肩書きや名称で呼ばれる訓練士ですが私が常にこうあるべきだと意識しているのは「犬を救うことを最優先」とした訓練、指導ができる訓練士です。警察犬や競技会犬などの“できる犬”を対象とした訓練はプロとしてできて当たり前なのです。問題はオーナーさんがワンちゃんとうまく共存できるようにいかにサポートできるかどうかなのです。

とりわけ咬みつき癖の矯正などはオーナーさんには不可能です。一般の人は咬みつかれたら怖くて何もできません。それを飼い主がだらしないから、リーダーシップをとらないからと言うのはナンセンスです。それよりも咬みつく原因と対処法を細かく説明し、自分では無理なことを納得させオーナーさんのできない部分を訓練士が背負えばいいのです。そのために我々が存在しているのです。

近頃は“自分の犬は自分の手でしつけるべし”という風潮が蔓延しております。それはそれで結構なのですがどうやってもできない部分というものがあります。それをやれというのはあまりにも酷だしその難しさを知っている訓練士として無責任である。オーナーさんが出来ない部分を背負うのが我々の仕事である。理屈だけで犬が利口になるのなら最初から訓練士など存在しないのである。

PS:今回私のもとにやってきたワンちゃんの更正結果は半年後に報告したいと思っています。

総論

すべての責任を飼い主が背負う必要はありません。頑張ってもできなければ誰かの力を借りればよいのです。自暴自棄になって犬の命を絶ってしまう場合(安楽死のこと)もあるのですから・・・・

絶滅危惧種:中村信哉は絶滅の危機に瀕しながらも今日も咬みつくわんこを見守る

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