最近HPのおかげで遠方からの問い合わせがしばしばあります。大変ありがたいことです。しかしその内容を考えると手放しでは喜べない感もあります。なぜなら・・・
その問い合わせのすべてが近くの訓練所に電話したら「もう手遅れです。無理!!」と断られ、訓練を引き受けてくれる訓練所を探しワラにもすがる思いで私のところへ辿り着くようです。
どの子も年齢を重ねた(といっても私からするとまだまだ許容範囲)ワンちゃんで確かに“咬み
つく”という我々訓練士にとってもリスクを伴う訓練ですから断るのもわからないわけではありません。しかし我々が断ると言うことは「処分したらどうですか?」と言っているのも同然です。
私も数多く咬みつく犬を手がけてまりました。コーギー、ダックス、ピレネー、雑種その他、5~6歳の過年齢のワンちゃんたちも幸いにも更正させオーナー様のところへ戻すことができました。中には私の努力不足、技術不足からかどうしても更正させることができず不幸な最後を迎えたワンちゃんもいました。しかし多くの犬が救われるのです。オーナー様は必死なのです。それを犬を見もしないで年齢と犬種を聞いただけで「無理です」はないと思う。せめてよーく話を聞いてどこかに活路を見いだしワンちゃんとオーナー様を救うべく「じゃ今度連れてきて見せてください。」(実際に見てみると意外に思ったほどではない子もいる)とか「ちょっと年齢がいってるし難しいかも知れませんがやってみましょう。」ぐらいの前向きな返答をしてほしいものである。
咬みつくワンちゃんは確かに大変です。何度も咬みついて自信をつけたり、拒絶することを覚えた犬や先天的に攻撃性の強いワンちゃんは一筋縄ではいかないのは事実です。私だって何度も咬まれたことがあるしこの先も咬まれる危険はいくらでもある。私の先輩はコーギーに指を咬まれ第一関節から先がありません。それでも今なお咬みつく犬を断ることなく全身全霊で訓練に取り組んでいる。
私も神様ではないですからすべてのワンちゃんを救うことはできないかもしれません。しかし一頭でも多くのワンちゃんを救いたい、ただこの一念で17年頑張ってきたし、この先も頑張っていくつもりである。たとえ指をもがれても・・・(あっ!でも指が短くなるとゴルフクラブがにぎれなくなる!?)
それはさておき訓練士、トレーナーを名乗る者が咬みつくからといって訓練の依頼を簡単に断わるようでは困ったオーナーさんはいったい誰を頼ればいいのだろう?少なくとも私ならびに私の弟子はまだまだ絶える事のない“咬みつくワンちゃん”を救うべく体を張って行きたい。
総論
犬は1度でも咬みついたら大きく変化します。ですから咬みつく前もしくは唸ることが頻繁にあるようでしたら、すぐに専門家に相談しましょう。
絶滅危惧種:中村信哉は絶滅の危機に瀕しながらも今日も咬みつくわんこを見守る