~思い出す言葉~

最近よく思い出す言葉がある。見習いのころよく先輩訓練士に言われた言葉である。

「犬は猛獣である。油断することなかれ。」

まさにその通りである。愛玩犬?ペット?良きパートナー?癒し?それは人間が勝手に作り出した人間に都合のよい虚像である。

「この人本当に犬が好きなの?」という疑問の声が聞こえてきそうである。もちろん!!大好きである!!

こうしてキーボードを打っている間も後ろで2ヶ月のシェパードの仔犬が「クゥーンクゥーン」と寂しそうに鳴いている。

この日(H20年11月6日)繁殖者の下を離れ、我が家にやってきた子である。この仔犬の鳴き声を聞くと自然と顔がほころんでくる。お客様の前では見せられないだらしのない顔なっています。(厳しくて怖い先生のイメージで通ってるもので・・・)。それくらい好きです。

しかし“犬は猛獣である。油断することなかれ”などという言葉を口にするとまるで犬が嫌いなのではないかと思われるのは当然である。この“犬は猛獣である。油断することなかれ”は犬という生き物とその行動心理・思考回路をよく理解しているとともに、永く犬と関わってきた経験から発する言葉であろう。

この言葉はまさに言い得て妙である。犬を飼う人はこの言葉を肝に銘じて飼うべきである。犬は今も昔も“犬である”。どんなに人間が犬を美化・昇華しようが行動心理・思考回路はかわらない。愛玩犬と思ったから犬がみずから愛玩犬になってくれるわけでもないし、良きパートナーと思ったからといって犬が自ら良きパートナーとなってくれるものではない。もちろそうなってほしくて人が正しい知識と行動を持って接すれば多くの場合は成りえるであろう。

それでも何かの拍子に人間の考えの及ばない行動を起こし、人を傷つけ、あるいは人に迷惑をかけ共存の危機を迎える(共存とはいっても犬にははた迷惑な共存もあるが・・・・)。しかし“犬は猛獣である・・・”の精神を常に持っていれば被害は最小限に抑えられるし害を被らないでお互い平穏に暮らすこともできる。

問題行動犬を所有されている多くの方々は“油断している”のである。

例えば

「年を重ねれば落ち着くさ・・・」でなくて→いくつになってもこの落ち着きのなさだったらどうしよう。
「一回ぐらい大丈夫さ・・・」ではなくて→これを頻繁に繰り返すようになったらどうしよう。
「うちの子に限って・・・」ではなくて→どの家の犬もその可能性はあるかもしれない。
「甘咬みだから・・・」ではなくて→本気咬みに発展するかもしれない。
「この犬種はお利口だから・・・・」ではなくて→勝手な思い込みはやめよう。この子は例外かも・・・。

と考えるべきである。

「みなさんがよく耳にする目にする情報はほとんど“ウソ”です」

特に雑誌に書いてあることはたいてい間違っています。中には「うんうんまさにその通りだよ」ということを書いてある場合もありますがほんの一部です。「ほんとかな?」とちょっとでも感じたらとことん疑ってみましょう。それぐらい一般的に広まっている情報には迷信や偶然うまくいったことをさもそれが正しいものであるかのように吹聴する人間がいますのでご注意を!

犬にはするどい牙があります。人間が走っても逃げられない脚力があります。人間の邪念を見透かすするどい本能があります。犬をなめてかかると手痛いしっぺ返しを喰らいます。しかし犬を本能を理解し、その長所短所を受け入れる環境を整えれば愛玩犬にもなるし良きパートナーにもなるでしょう。ゆめゆめ油断することなかれ。

総論

犬は猛獣である。ゆめゆめ油断することなかれ!

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