~ご注意ください 2~

ここ数年おかしな現象が続いている。小さい時によそのトレーナーにしつけをしてもらったり、しつけ教室に通ったのに全然命令を聞かないばかりか咬みつくという犬が私の所へやってくる。なかには「おすわり」や「待て」などの指示には従うけど咬みつくという矛盾したケースもある(正確には矛盾しているとは言えないのですが・・・これについてはのちほど)。しつけをしていないからコントロールが利かなくなって訓練に来るならわかりますがしつけをしたはずなのに言うこと聞かないなんて摩訶不思議なことだと思いませんか?

今流行のしつけ教室や○○式トレーニング・・・いや○○で濁さず、この際はっきり言ってしまおう。英国式トレーニングとか欧米式トレーニングとか呼ばれているやつです。“犬にストレスをかけずに誉めてしつけます”って謳ってるやつです。雑誌や本で“最新式”とか“行動心理学を利用して”とか言ってるアレです。“誉めてしつける”なんて当たり前のことをさも画期的で特別な技術のように謳ってるアレです。

“小さい時にしつけ教室に通った”とか“英国式トレーニングを受けたことがある”といってうちに来た犬・・・・・・みーんな咬みつきました。そりゃそうですよ。その犬の性格や特性、飼い主との関係をまったく無視して、ただエサを使って「おすわり」や「ふせ」などの服従科目を教えるだけで肝心な“服従心”を植え付るということをしていないんですもの・・・・。“仏作って魂入れず”みたいなものです。

服従科目ができるから服従してると思っている訓練士が多いんですよね。たいていの犬はエサを使えば条件反射で指示には従うものです。“咬みつく”とか“吠える”といった行為もエサを使って一時的には回避できるからなんとなく飼いやすくなることもあります。そんなその場しのぎのごまかしのトレーニングをおこなって訓練が入ったと思いこんでいる訓練士が多いのが現実です。何も知らない飼い主はなんとなく飼いやすくなったから満足する。ところが・・・・

人間と生活していく中でいろんなことが起きる。それを必ずしも犬が受け入れるとは限らない。拒絶することだってある。その拒絶がエサを使うことによって拒絶を解除して受け入れる態勢になればよい。またその状況を拒絶しないで犬が自然に受け入れ、「よしよしいい子だね」と誉められる状況になればよい。英国式トレーニングや誉めてしつけるトレーニングは“たられば”訓練なのである。“犬が素直に受け入れてくれたら”、“上手くいったら”が前提の訓練なのである。つまり“半端なじゃなく拒絶したり”、“エサに見向きもしない犬”を想定していない訓練なのである。

つまり想定外のことを想定して(ちょっと変な言い方だが・・・・いわゆる危機管理意識の強さです)訓練するのが訓練である。英国式トレーニングをすべてを否定しているのではなく、もっともっと幅広いシチュエーションを想定したトレーニングを心がけてくれれば年齢を重ねても酷くなることはない。私は仕事だから覚悟の上だが、酷くなってからトレーニングされるわんこの身になって考えてほしい。咬みつくようになったらストレスをかけないとか誉めてしつけるなんてあまっちょろいことなど言っていられないほどの過酷なトレーニングが犬に科されるのである。飼い主が犬を飼っていくことに絶望してしまうことさえある。それもこれも大切な時期にいい加減なトレーニングもどきなことを施されているからである。

だいたいからして犬の訓練に何とか式とか何とか流などないのである。訓練とは“その犬の性格、犬種の特性、犬と飼い主との関係を判断して最も適した方法で訓練する”、これのみである。一つの手法にこだわるということはそれに合わない犬は訓練できないと言ってるのと同じです。だからといって何でもできますは“多芸は無芸”という言葉もありますから一概には言えません。

しかし黙っていてはいけません。もっともっとリサーチして納得できる訓練士を選びましょう!

総論

訓練は賞めるだけでも叱るだけでも入りません。バランスよく経験させなくてならないものです。
偏ったやり方は必ず歪みが生まれます。そこのところを熟知したトレーナーを選びましょう。

絶滅危惧種:中村信哉は絶滅の危機に瀕しながらも今日も咬みつくわんこを見守る

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