EP Ⅲ:怖い気持ちを克服する日々〜柴犬コロさんのオーナー様手記〜

この手記は10件の専門家にたらい回しにされ、北栃木に辿り着いた柴犬コロさんのオーナー様が卒業に際して記したものである。原文をそのまま転記しています。ねつ造無しのオーナー様の声をご覧ください。

中村

コロが訓練所にお世話なってから半年くらい経って、飼い主・コロとの合同レッスンとなりました。

その頃が「コロが怖い」と感じる一番のピークでした。

そばに行くのも怖いし、目が合うのも怖い。

当時はまだコロも緊張していたので、飼い主も緊張、犬も緊張。

やや緊張気味の固い表情のコロが、唸り顔にどうしても見えてしまい、ついにたまらなくなって先生に「コロが怖いです」と打ち明けました。

「なんてダメ飼い主なんだろう」とうなだれていると、先生はおっしゃいました。

「僕も怖いですよ。怖いけれど、扱い方がわかっているから、対処できるのです。それを一つ一つ覚えていきましょう。それに、飼い主さん達は皆さん、多かれ少なかれ『うちの子が怖い』と思っているから、別におかしなことではないですよ。普通の顔でも、唸り顔に見えるでしょう?」 

「百戦錬磨の先生も怖いのか!」

目からうろこが落ちました。

先生も怖いし、今までの飼い主さん達も怖い気持ちと戦ってやり遂げたのだから、私たちだって必ずできる!やるしかない!

素直にそう思えました。

そう思ったからと言って、すぐに恐怖心が無くなったわけではありませんが、充実したレッスン時間になるように集中して頑張りました。 

一月に一度くらいのペースで訓練所に伺い、色々な練習をしました。

「コロが咬んだ」というシュチュエーションを再現して、一つ一つ、それをつぶしていきました。

レッスンをすればするほど、少しづつですが恐怖心は薄れていきました。

「毅然として接すること」
「一度言ったことは絶対やらせること」
「コロをよく観察すること」

「一緒にドライブ」の練習では那須アウトレットに行きました。

真冬でしたのでとても寒くて、でもそのおかげで人が少なく、のんびり歩けました。
それでも久しぶりの散歩にコロも私たちも緊張。

ひたすら習った事に忠実に散歩しました。

この頃は帰りの新幹線では、一時間ちょっとの乗車時間が嘘のように爆睡していました。

最寄の那須塩原駅で降りてレンタカーに乗り換え、訓練所に伺うのが慣れたころ、いよいよ卒業テストの「コロと一緒に外泊」になりました。

那須塩原には沢山の「ペットと泊まれるペンションやホテル」があるので、ネット予約して、レンタカーも事前に「犬も乗せます」と申請して、準備を整えました。

先生にクレートを装着して頂き、まずはコロをクレートに入れるところから訓練はスタートです。

今までは抱っこで車に乗ったり下りたりしてコロが(そしてこの状況でも咬まれた事があります)、「はい、乗って!」という先生の声に、ぴょんと車に飛び乗りました。

たくましくなったコロに感動しつつ、先生の真似をして車に乗せ、クレートの中からこちらを向いているコロのチェーンカラーを外す練習もしました。

実はこの瞬間が一番コロに接近するので、とても怖いのです。

「怖さを悟られないこと。躊躇せずに外すと決めたら外すこと。」

コロはのほほんとした顔で外されるのを待っているのに、若干ブルブルする飼い主。

でも、回数をこなせばこなすほど、楽にできるようになりました。

コテージになっている那須高原のホテルに泊まり、久しぶりに長い時間一緒に過ごしました。

普通に世話をするので十分訓練になるので、基本に忠実に行いました。

那須高原は空気がさらによく、数は少ないのですが、こだわりのお店が点在していて、ドライブしては止まって散歩とお買い物をしました。

また那珂川沿いにある公園はとても広くて、人も少ないので、お散歩に向いていました。

この「お泊り」がとても楽しかったのと、この一回で卒業するにはやはり心許なかったので、日を置かずして、もう一度「お泊り訓練」を敢行!

二回目は一度目などくらべものにならないくらいうまくいきました。

(もし「お泊り訓練」に行かれる方は、事前に那須高原をよーくチェックなさって行かれるのがおすすめです。訓練所からホテルなどがある場所までは約1時間くらいかかると思うので、その中間地点にてお散歩などができる場所を探しておかれると、便利だと思います。またコンビニに寄る際は、見かけた時に入っておかないと、もう見つからなかったということもあるので、ご注意ください。)

訓練所に戻った私たちに先生から「よし!卒業決定です!」のお言葉が。

「やった!」という気持ちが半分、「大丈夫なんだろうか。私たちだけでやっているのだろうか。」という気持ちが半分というのが正直なところでした。

でもやるしかないのです。

コロはもうすっかり出来上がっていて、残りの部分は私たちが教えて頂いた通りにやるだけなのです。

それができてこその飼い主なのです。

先生はコロを再び我が家に送り届ける日の為に、ずっと頑張って下さっていたのです。

「ベストを尽くすだけだ。」

そう思って、もしかしたら那須塩原駅も今日が最後かも・・・と多少おセンチになって新幹線に乗り込みました。

先生が我が家にお越しになる日も決まり、暴れん坊の誰にも怒られたことのない小さな怪獣だったコロがぶち抜いた障子、畳などをきれいにして、その日を待ちました。

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